らくだの足あと 8歩目 2024.12.10
目次
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出店していた10〜11月あたりの振り返り
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らくだ舎の循環②コーヒーの袋をワンユースしない
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選挙雑感・二階伸康陣営と出会い思ったこと
日記
ここのところ、出店が続いた。
「本屋、出版社的な立ち振る舞いが増えてきた、そしてそれが自然になってきた」
そんなふうに感じるやり取りが増えた。本当にありがたいことです。基本的に出店は「ハレ」の場であり(通常の店が「ケ」ということでもなくて、日常から離れているという意味でのハレで)、躁鬱でいえば「躁」状態を意識的に続ける、みたいな時間が続く。とにかく人と喋る。少し前は舞い上がっているし伝えなければという思いで、言葉も早く放ってしまいがち(それによって1日で声が枯れてしまう、というのはデフォルト)だったのだけれど、少しずつペースというものがわかってきて、平熱に熱を乗せて言葉を発していく、そんな心持ちで苦にならなくなってきた。
ただ、時々何かを置き忘れているような感覚になるときがあって、これはちょっと困っている。思い返すと、これまでの人生のふとした瞬間・場面場面で、内臓部分が消えたかのような、突然足場が失われてぐらっとぐらつくような、そんな感覚をしばしば体感している。ちょっと大袈裟かもしれないけれど、この感覚と生きてきたと言っても良いのかもしれない。この感覚は、物事がトントンと進んでいる、うまくいきかけているときに遭遇することが多い気がしている。
それでも、というか、それなのにというか、いま僕たちは、いろんな場面で一歩足を踏み出さねばならない(うまくいくかどうかわからないけど)場面が増えていて、それは歳をとることのよさ、ある種自分の思い通りになる領域が増えることでもあるのだけど、そこここでの責任が増えていくということでもあって、やっぱり怖いなあと感じてしまう。
kitakagaya FREAたくさんの出店、たくさんの本、たくさんの営みがある。造船所の懐の深さが開放的で、過度な気遣いがなく、適度に開かれた楽しいイベント。村松さんの力によるところが大きいのだろうか?各所本屋さんはもちろん、関西近郊の出版社の皆さんとも挨拶ができたり、ビーコンの石垣さん、書き出すとキリがないんだけど、本屋を始める前に話をさせてもらった夕た書の藤井さん、どこにでもいるように感じてしまう生活綴方の中岡さん、鈴木さんや汽水空港のモリさん家族、ルチャ・リブロの青木さんや光嶋さんにも会えたり。あげだすとキリがない。あまり時間をおかずにこうして顔馴染みの方が増えていくのはなんだか嬉しい。そして、久しぶりの再会もあって、人が集まる場所の魅了を満喫した1日だった。あんまりこうして多様な人と一度に出会う機会も多くないので、
「とにかくみんな頑張っている!」
と肌で感じられた。刺激をいっぱいもらい、ちょっと元気になった。来年も出たい!

出店者側も来場者側も幅が広く設けられていて、場所の開放性と相まってとても気持ちのいい空間だった。インセクツの皆様に感謝。

個人的に「うわー!」だったのは、Re:s藤本さんと話すことができて、カルチペイの話もきちんと聞けたこともあるんだけど(カルチペイについては、また後日書きたい)、『二弐に2』をすでに買い求めてくれていたこと。「これは買わずにはいられなかったなあ」と。「うわー!」と貴子と二人で話しながら心では小躍りしていた。尊敬する一人の編集者が認めてくれた、と考えると、じわじわと嬉しさが広がって、これでしばらく生きていける感じ。嬉しいなあ。いつからくだ舎で話をゆっくりと聞きたい一人。

トークイベントも充実していた

二弐に2を手に取ってくれる方も多く、反応もよかった
alpscitybookparadeありがたいことに、写真家・疋田さん経由で栞日・菊池さんにお声がけいただき、出店。昨年はタイミングが合わず松本に足をはこぶことが叶わなかったので、二年越しのそしてPARCOの今後によっては、最後になるかもしれない催し。そんなタイミングで同じ時間を過ごせてよかった。栞日菊地さん(2?3?回目だけどほぼ初めまして)、写真家疋田さんはもちろん、ずっと本を取り扱わせてもらっている信陽堂の丹治さん・井上さん、ナナロク社村井さん、トゥーバージンズ住友千之さんと初めてお会いできたり、開店前から灯りの一つとしてみていたマルジナリア書店小林えみさん、REBELBOOKS萩原さん、北加賀屋ぶりに烽火書房嶋田さん、Kilty BOOKS国本さんや、港の人上野さん、真鶴出版川口さん、TOUTENBOOKSTORE古賀さんとも久しぶりに。六年の間にいろんな方ととても細い糸で繋がるきっかけをいただいたり、その糸をこうして出会いながら太くしたり、まったく意識できていないけど、自分たちの位置は同じようでどんどん動いていってるなあと感じる。そもそもこうした方々と肩を並べて出店すること自体、東京にいた頃は想像すらできなかった。それぞれの状況を伺えたり、こちらの近況を話せたり、このやりとりが何よりの収穫だなあと、北加賀屋から続いて思うこと。とくに小林さんの話には、本当に元気をもらったなあ。これからも、自分たちなりの極北をめざしていこうと思う。長野は東京に近いだけでなくて、気候がいいよなー。移る人が多いのは、東京に近いという理由だけではない。(北海道出身者としては、一冬を超えてみて初めていい場所かどうか判断できると思っていて、冬の雪、寒さは、生活を続ける上ではとっても大事な要素だけど)それを差し引いても、文化が根付いている感じがして、それはきっと、それこそ先人の努力の賜物なんだろうと、長野を取り巻く教育の話なんかを聞くたびに思う。

レインボーフェスタ那智勝浦初めての年から出店という微力な形ではあるけれど、協力させてもらっている。イベントでなくても、LGBTQ+の本、フェミニズム・男性性に関する本は入れ続けているのだけど、ここで並べるとやっぱり本の放つ力が違うなと思う。毎年少しずつ客層が変遷していて面白い。徐々に、勝浦のイベントというか、地元のお祭りっぽくなっているというか、それは出演者の関係者なども多いからなど理由があるのかもしれないけれど、それに伴って手に取られる本も当たり前だけど変わっていく。主催のまるちゃんはじめ、スタッフの皆さんの明るさが感じられるこのイベントは、一日ずっと心地よい風が吹いている感じで気持ちがいい。今年は雨が降ってしまって、本を並べる身としてはめちゃくちゃヤキモキして、どっと疲れた。学生や若い人も手伝ってくれて本当にありがとう、という気持ち。やっていることで還元していきたい。

最近のおすすめ『読書と暴動』 レインボーフェスタ向けに
これで年内の遠出はひと段落。農地の草刈りもあるし、ほぼ毎日何かしら地域の会合があるという状態が続く。うちとそと、個人と集団、うまく呼吸しながらやっていけたらと。(txt:千葉さとし)
らくだ舎の循環② コーヒー袋をワンユースしない
前回より始まったコーナー?らくだ舎の循環の取り組みを書いていきます。今回紹介するのは、はっきりとした循環、ではないし、小さな取り組みなのだけれど、できてよかったな、としみじみ思っていることを書きます。それは、仕入れているコーヒー豆の大きな袋をワンユースで捨てず、3回使う、という取り組みです。

袋の底に、丸が3つ。全部黒く塗りつぶされると、3回使ったことになり、交換する、という仕組みにしてくれています。
これはもちろん、私たちだけでできることではなくて、仕入れ先の焙煎室の協力あって実現していることです。
らくだ舎喫茶室は、開店以来(じつは、11/8で6周年でした。気づかないうちに過ぎていて、20日くらいに気づいてうわわとなりました)、友人を通じて紹介いただいた「太山寺珈琲焙煎室」(兵庫県神戸市)さんのコーヒー豆を仕入れさせていただいています。様々なコーヒーを飲み比べ、私たちの好みとして素直に美味しい、と感じ、わざわざ喫茶店で飲んだ満足感を実感しやすいと思った味わいで、かつ価格感が合い、立地も他候補よりも近い関西圏、ということで、お願いすることにしたのです。
私たちが、太山寺珈琲焙煎室さんの店舗を最初に訪問したのは、らくだ舎喫茶室オープン前の夏頃だったと思います。繋いでくれた友人が訪れるタイミングに合わせて一緒にご挨拶にうかがい、代表の横野さん、奥さんの亜弓さん、息子さんに初めてお会いしました。私たちのようなとっても小さなお店の相談にも真摯に乗ってくださり、淹れ方のアドバイスや、どんな豆を扱っているのか、その産地の情報、入手経路、大事にしていること、などたくさんの質問に丁寧に答えてくださいました。
そして、翌年1月には、実際にらくだ舎まで足を運んでくださったことが、私たちにとってはとても大きなことでした。とても嬉しくて、感動したことを覚えています。私たちを訪問する旅をとても楽しんでくださっていて、良いところだね、と言ってくださった。行きます、と言ってくださっても、やはりここまで来てくださる方はそんなに多くはありません。横野さん、なんて実直な方、誠実な方なのだろう、と初めてお会いした時から思っていましたが、実際に足を運んでくれて、らくだ舎があることの意味などを深く感じ取って言葉をくださったことで、その想いは一層強くなりました。

神戸市の太山寺、という平安時代にできたお寺の参道にお店を構えていらっしゃいます。私たち家族は、これまで4回くらい味を運びました
その後、色川の棚田の上を通り過ぎる風、をイメージするという無茶を言って何度も試作を繰り返して「らくだ舎オリジナルブレンド」を完成していただいたり、また色川を来訪してくださったり、私たちも太山寺さんを訪れたり。往来しながら、関係を築いてきました。そして、お取引を始めて2年くらい経った頃。
私たちがずっと気になっていた、コーヒーの袋のことを、横野さんにご相談しました。太山寺珈琲焙煎室さんからコーヒー豆を入れて送っていただく1kg〜500gの大袋。基本的にお店のバックヤードにあり、お店に並べているストッカーの豆が底をついたら補充をしますが、触る回数も少なく、基本的にとてもきれいな状態でその役目を終えていました。これを、なんとかリユースできないものか。美味しいコーヒーを届けてくださっているからこそ、一度使った袋を使うことは品質的に問題があるかもしれず、言いにくさはあったのですが(実際には智史が言ってくれて、ありがたかったです)・・・お伝えしたところ、ふたつ返事で、「良いですよ!全然問題ないです、できますよ。確かにそうですよね、やりましょう!」と物凄い速さで理解してくださったのでした。
「僕らも1年に一回くらい、らくだ舎さんに来たいと思ってますし、らくだ舎さんも来てくださることがありますし。溜めておいて、そういった時に持っていけば、余計な送料も要りませんし。やってみましょう!」(横野さん)
こうして、コーヒー豆大袋のリユースが始まりました。いつの間にか、太山寺さんの方で仕組みを整えてくださって、コーヒー豆袋の底には、白い丸が3つ、描かれるようになっていきました。○○○→○○●→○●●→●●●豆の品質保持や衛生面でのバランスを考え、どこまでも使用するのではなく、適度なところで更新する、という仕組み。見た目でなんとなく、だと判断がつきにくいので、ちゃんと管理する、でもやりすぎない小さな仕組みで、というやり方がとても素敵だなあと思っています。
余談ですが、私は何でもワンユースしない、ということを何についても意識して生活しています。どんなものも、ワンユースせず2回目、何かに使う。結構ゲーミフィケーション入ってる感じです。つい先日は、冷凍の豚肉が入っていた厚手のポリ袋を、きれいに洗って、それを湯煎調理に使って鶏ハムを作り、しめしめ、使ってやったぞ・・・とひとり悦に入っておりました。というのも、環境問題のひとつに、プラスチック問題(海洋プラスチック問題だったり、マイクロプラスチック問題だったり焦点の当て方の違いはありますがとりあえず包括的に)というものがありますが、日本はマジで、プラスチック容器ワンユース大国でヤバい(急に小6男子風)んですよね。
2018年6月にUNEPから出た報告書「シングルユースプラスチック」によれば、日本の人口ひとりあたりのプラスチック容器包装の廃棄量はアメリカに次いで第二位とのこと。こうした状況を変えるために、プラ資源循環促進法ができて、国として2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%削減 という目標を掲げているわけです。(プラスチック資源循環促進法の施行について:2022年4月1日から施行
一応直近データが劇的に変わっていたらこんなこと書いたら良くないので見てみました。2022年実績で、日本は823万トン/年のプラスチックを廃棄、そのうち約49.1%が「包装・容器等/コンテナ類」(404万トン)となっています。ここにワンユースの容器は含まれると思われます。ちなみに2018年の同データでは、850万トン/年が廃棄量、約47%が包装容器コンテナ類。全体は微減、このカテゴリー的にはほぼ変わってなさそうですね・・・コンテナがめっちゃあるのかもしれないですけど。(出典:2022年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況マテリアルフロー図、リンク貼るので興味ある方はどうぞ。サーマルリサイクルとマテリアルサイクルの割合とか出ていて面白いです。データ出すの大事ですよね)
脱線から戻って。そんなわけで、ワンユース(たぶん専門用語的にはワンウェイ)するのと、リユースする、1回と2回の間には雲泥の差があると思っています。リサイクルもエネルギーがかかるので、やっぱりリユースしたい。1回使って捨てる、のと、3回使って捨てる、は、環境負荷が結構違うと思うのです。紙カップの使い捨ての環境負荷についての文脈で見た検証結果で、若干うろ覚えですが、紙カップを1回使って捨てる時のライフサイクル環境負荷とプラカップを繰り返し使った時のライフサイクル環境負荷を比べると、プラカップを確か11回使うと、プラカップに軍配が上がるとのことでした。また脱線しました。とにかく、こうして、3?4年ほど前から、コーヒー豆袋のリユースの取り組みが、始まったのです。
ある時は、太山寺さんの常連さんがらくだ舎まで来てくださって、袋の回収を手伝ってくれたこともありました。今年の春にも、私たちは太山寺さんを訪問して、ご挨拶しながら袋をお渡ししてきました。

なぜかちょっとワルモノっぽい顔をしている横野さん(めちゃくちゃ良い人です!)
春に訪れた時、横野さんから、とても嬉しいことを聞きました。「今では、この袋のリユース、他の店舗さんでも結構定番化してきているんですよ!」横野さん自身、SDGsや、LGBTQ +、環境問題に対して日に日に課題意識を持ち、勉強されているとおっしゃっていて、スタッフ内で勉強会を開くなどもされているとおっしゃっていました。きっと、このリユースの取り組みを拡大するよう、働きかけてこられたのだろうな、と想像します。らくだ舎の扱うコーヒー豆の量は、とてもささやかですが、こうして太山寺珈琲焙煎室さんの別の取引先にもリユースが広がっていると聞くと、ささやかだけれど実行することの、思いもよらない効果を感じました。そして、リユースにまつわるやりとりによって、太山寺珈琲焙煎室さんとの繋がりも、一層濃くなったようにも感じています。
さて、長くなりましたが、今回ご紹介するのはここまで。ささやかだけど嬉しかった循環のお話、でした。太山寺珈琲焙煎室さんのコーヒーは喫茶室で定番のコーヒーとして3種類提供しています。豆売りもしています!こちらも可能な方には袋のリユース、瓶等の持参をお願いしています。寒くなると身体に染み渡るコーヒーを飲みたくなるもの。喫茶室でお待ちしています。(txt:千葉貴子)

今春、太山寺珈琲さんを訪問後。美味しい居酒屋さんにご案内いただきました。息子さん、娘さんに遊んでもらってご満悦の娘
二階信康さんを応援する方々と出会い思ったこと

選挙を終えて感じたこと
少し前の話になるが、衆院選が終わった。
僕たちが住む和歌山2区は、裏金問題で自民党を離党した世耕弘成が鞍替えして無所属で衆院選に出馬、二階俊博の息子・二階伸康とぶつかる形になって、どうなるんだろう?とちょっと注目された地区だった。結果は世耕さんが勝った。
当選後?(リソースが正しいのかわかりませんが、当選後の会見の録画では)世耕さんは、「自民党に戻ることは全く違和感がない」と話していて、一方う、自民党側は、選挙前の時点では「離党した党員が戻ることはない」とコメントしていたようです。(こちらも記事を1つ見ただけなので、事実かわかりません)現実勝ってしまった議員を一人でも多く自民党に戻したい、というのは偽らざる気持ちだろうなと想像する。とても困ったことだけど。一度離党した党員に対し強く「戻ることはない」と言い続けて欲しい。この状況下でそうした誠実さはどれくらい働く可能性があるのだろうか、と勝手に気持ちが萎えてしまう。
それにしても、色々思うことが多かった選挙だった。(毎回そうだけど)ちょっとだけ整理する。
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立候補者の情報が少なすぎる
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対抗馬が「もしかしたら?」と期待を抱かせてくれるような方にならない、あるいは準備が見えない
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地域の信頼=実績や経歴 が成り立たない
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結局お金、という雰囲気を払拭できない(結果的にそうだとしても)
1、選挙公報?が選挙後に送られてくるという謎の状況も手伝い(あったとて、判断材料になるかと言ったらむずかしいけれど)、今回は本当に情報が少なかった。人柄や過去の実績、「やってる感」ではなくて、何を成し遂げようとしている人なのか、どこに力を入れていく人なのか、そもそもホームページすらなかったり、言葉で語っていなかったり、判断材料がないのは、仮にも公式な選挙として、あまりにもお粗末だなあと思う。
その状況では、露出の多い人(単純な人気やイメージ)+地縁のある人
に票が流れていくことは当然だろうなと思う。
2、例えば今回出馬された共産党の方は、70歳くらいの元和歌山市議会議員の方。「このタイミングでその年齢の方かあ・・・」でまず期待感が下がってしまうのは、正直ある。立憲民主党の方は写真だけでみると快活そうな女性で、「お」となるけれど、結局、1にも付随しているけれど、どんな人か、どんな魅力的な政策を成し遂げようとしている人なのかわからない。元和歌山市市議会議員の経歴が目立ち、流れでいくと順当なのかもしれないけれど、「期待感」「地元に根ざしている感」「主張のまともさ」どれをとっても、紀南エリアでは、判断できないくらいの情報しかなかった。
結果的に、単純に票を2分3分していくだけ、あるいは党として立候補者を出した、という事実重視の当て馬感が透けて見えて(というのはかなり穿った見方だと思うし、ご本人たちは相応の覚悟を持って臨んでいたはずだし、その気持ちに対してはとても申し訳ないけれども)、事実そう感じてしまったことそのものは、残念に思う。
それこそ、野党統一候補をこういう注目地区こそ時間をかけて準備して立てて、本当に勝つつもりで臨むという選択肢がなかったのか。二階さんが思いの外早く退いたことで準備が間に合わなかったのか。おそらく、地道な準備が相当年数(十年くらい?)いるはずで、二階さんが降りた後のことを想定した準備が、できていないということなんだろうと思う。
3、紀南地域は、特にこうした政治家の方と出会う機会も少ないであろう地域。だからこそ可能性もあるのかなと思うのだけど、選挙中、店を開いていて会いに来てくれたのは、二階さん陣営の方々のみ。「こんな場所にまで足を運んでくれるのか!」というのは、自民党を応援していない僕ですら正直驚きと敬意の念を持つ。この組織力には負けて当然、という気がするし、向こうも当然勝ちに来ている感じがとてもした。それはそれで大事な感覚だなと思う。地域に足繁く通ってきた実績、みたいなことが、有名でない候補者にこそ武器になりうると思うのだけれど、その実績が見える人がどれだけいたのだろうか?
余談だけれど、津田大介さん、宇野常寛さんの選挙後のポリタスTV特番を拝聴した時に、宇野さんが「敗北主義」という言葉を使っていた。なるほどなーと。勝つための戦略、それがたとえ十年先でも、今できる積み重ねを党として粛々と進めていく、そんな活動が見えづらいのは残念に感じる。(決して積極的に情報を得ているわけではないから、僕の収集能力の問題もあるだろう。地道に頑張られている方もたくさんいると思う)それでも、二階、世耕に肉薄する(しかも、この状況は野党にとってはかなりの好材料のはず)ことができなかったのは、厳しいものがあるなあ。
このままだと、確実に選挙結果は固定化される未来しか想像できなくて、暗澹たる気持ちになるし、ここに住み続けられるのか?不安になる。
4、総じて、出来レース的雰囲気が漂う。すでにある固着した関係性(地縁もしかりお金の流れもしかり)組織票を持った大きな土木系の会社などが結局のところ応援している人しか勝てない、という構図は、本当に無力感を感じてしまう。やってきた実績(あるいは不祥事)、語る言葉、果たしたいと思う公約、そして当選後の行動の注視、そして、未来世代をきちんとステークホルダーとして見た活動、一個一個きちんと評価されて欲しいなと思う。
二階さんを応援する方々と話したこと
上述の通り、店を開いていると、二階さん陣営の三人の高齢男性が訪ねてきてくれた。聞けば、那智勝浦で選挙の時に自民党を応援する地元の方、二階俊博さんの弟(もう一人は会話に参加されなかったのでわからない)だという。
「ぜひ二階さんに(票を)入れたって欲しい」「二階さんは、道路を作ってきてくれた」
応援する方々は、「二階さん(父)のおかげで道路ができた。その感謝を」と何度か言った。地元の方々はそう言う人も多い。「これまでずっと二階さんが頑張ってきた、だから今回も自民党(息子に)に入れてほしいんや」といった論旨を展開された。
考えながら喋っていると言うより、自分で喋りながらいいこと言ってるなと思ったのだけれど、「選挙は、これまでの成果を労うものではなくて、この先の未来を決めていくためのものですよね?」といったことをつい口走った。これは、おそらく応接室のような場所で、面と向かった状態だったら、言葉を濁すか、あるいは伝えることをやめてしまっただろう。でも、らくだ舎という喫茶店の空間内で、他にもお客さんがいる状況、半分誰にでも開かれている場所である、という安心感は、僕に素直な言葉を吐かせる勇気をくれたように思う。
しかも、自分が偉いなと思うのは(自画自賛して恐縮だが)、相手の言葉にもきちんと耳を傾け、二階さんの功績に、僕たちもあやかっている部分があること、感謝をしていることを素直に伝え、でも、裏金問題に対しての説明責任、やったことに対してどう対応するかが政治家ではないかと思うし、その点が問われる選挙ですよね?ということを、そこまで感情的にならずに伝えられたと思う。
正直、上の世代が恩着せがましく、「あれこれをしてやったのだからいうことを聞け(とまで断定口調ではなかったけれど」というのは、この国の悪いところがギュギュッと詰まっているものになっている。
会いに寄ってくれることは本当にありがたいことだ。地方は政治が近い。話せたこと自体が面白かったし、互いに互いを変えることはできないけど、耳を傾け、そういう考え方もあるなあと握手することはできるかもしれない、というある意味での希望を感じられた。
らくだ舎は政治的な発言をし合える場所、話してもいい場所なんだと、ちょっとずつでも広げていけると良いし、こうした会話の積み重ね以外に、いま僕にできる未来を少しでも良い方向に向かわせる術が思い浮かばない。
みなさんなりの実践や見えていること、一緒にできそうなこと、何かあればぜひ教えて欲しい。(txt:千葉さとし)
私たちのこと、発信いろいろ
Radio「らくだ舎のきらくなラジオ 」月2回くらいで更新。暇な時に聴いてくださいpodcasts.apple.com/jp/podcast/id1725074419
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Coffee&Tea&Books らくだ舎 OPEN:木・金・土 10:00-17:30
649-5451 和歌山県那智勝浦町口色川742-2 色川よろず屋内
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