らくだの足あと15歩目 2025.8.17

7月末に撮影。ロバはシカの獣害対策にはならないことが判明してしまった瞬間。全く干渉せずに仲良く草を喰んでいる〜!まあ畑じゃないからいいんだけど……ロバは良くてシカはダメなのか?ロバは食べないけどシカは食べるのか。とか、考え込んでしまうシーンではあった
目次
-
選挙に向き合う。自分と向き合う。
-
子ロバちゃんが産まれちゃった話
-
成長する子ロバとおっぱいの不思議
-
『牛を食べた日』続々出荷中!
選挙に向き合う。自分と向き合う。
少し時間が経ってしまったけれど、参議員選挙の前日・当日に書いた文章をニュースレターに掲載します。
・・・
選挙について、心が沈み、考えざるを得ない日々だった。なぜこんなに気持ちが重くなってしまうのだろうと考えた。
国家に、ほとほと嫌気がさしている。たまたま生まれて、たまたま住んでいる、この国。たまたま住んでいるこの国を、住みやすく生きやすくするために、意見を言って動いてくれるだろう人を選び、仕事をしてもらうのが国政選挙だろう。
政党政治にも、ほとほと嫌気がさしている。「俺たち意見が近いから、みんな同じ意見でいこうぜ、そしたら勝てるから」きっと最初はこんなことだったんだろうけど、「絶対この意見にしろ。反対したら負けるだろうし、その後仲間はずれにするからな」そんな感じに見える。この国の未来を描くこと、じゃなく、どこについたら勝てるか、に頭の容量を割いちゃいないか、と。国政なのに、雑すぎないか、と。
選挙に行かない気持ちだって、わかるのだ。どうせ変わらない。自分には関係ない。選挙に行こう!って同調圧力じゃないの、うざい。誰かの声が、容易に聞こえる。わかる。
でも、行かないことで、示せることはない、プラスになる要素はない。ただサボっているだけだ。授業サボってコンビニに行って何を買うわけでもなくウロウロする、とか仕事サボってこっそりネットサーフィンしてる、みたいなこと。あんまりかっこいいことではなく、ただ怠惰である。行ってマイナスになることはほとんどない。徒労感をマイナスというならそうかもしれない。やらずに後悔するよりまし、というような話。
民主的ではない「多数」が圧倒的に強くて、心が磨耗し続けてきた。民主主義は、ひとりひとりが自分の頭で考えることを厭わないことで、初めて成立する。ひとりひとりが考え、暫定的な答えを提示してから、その答えの多数をとっていくことで、多数決は初めて民主的な意味を持つだろう。
少数を切り捨てて「勝った」とするのではなくて、「拾えなかった」少数の意見をどれだけ汲み取ることができるか、ということが、多数となった人たちに求められる、それが成熟した政治なのではないか。
少数の意見を汲み、停滞せず、ちゃんと変化し、進むこと。分断ではなく、どれだけゆるやかに繋げることができるのか。ただ一つの正解を持っているのではないという姿勢。
そんな政治であってほしい。
地域のことなら、いくらでも考えられるし、考えたい。どうしてこんなにも、国は遠いのだろう。
私はもう四十で、でもまだ若いような気持ちでいることは恥ずかしいけれども事実だ。だから、大人って。とか考えてしまう。「国会」は、この国で、もっとも成熟した人々が集まる場所だと思っていた。牛歩戦術で練り歩く国会議員の映像を見てから、どうもそうでもないようだと気づいた。知恵を出し合って、より良い方向性を議論する。過去よりも、今よりも、未来がより良くなるように。
そんな国政であってほしい。だが、私も加害者なのだろう。二十年間、選挙に行き、投票をしてきたのだから。そのほとんどは梨の礫であった。投票をするだけでは足りなかった。選挙のたびに、選挙でない期間にどうすべきだったのかと考えて、不甲斐ない自分に嫌気がさしている。
子どもに顔向けできる。孫世代に顔向けできる、7代先の、雲孫たちに誇れる。そんな自分になるために、すべきことをすることが必要だ。

私の誕生日に、娘がくれたプレゼント。可愛いが過ぎる!
・・・
先週から配信している『らくだ舎のきらくなラジオ2』も、三話に3週に渡り、「あえて気軽に政治の話をしよう」をテーマにお送りします。参院選を個々人として振り返りつつ、民主主義のこれから、暴力性の教育について、あっちこっちに話題が転がりながら話をしていますので、よろしければ、そちらも併せてご視聴ください。Podcast、Spotify、Youtubeで配信しています。
子ロバちゃんが産まれちゃった話
8月10日深夜。ロバのミミオレが、赤ちゃんを産んだ。すっかり3月頃出産と思い込んでいたので、驚きの速さだ。
血管が浮き出るほどにパンパンに張ったおなか、垂れてきたおっぱい、ゆるゆるに緩んだ尻尾。「今すぐに産まれちゃいそうだよね」、とJUGEMUの千鶴さんと笑い合っていたのは間違いではなかったのだ。
千葉家は8月3日夕方から、研修&帰省のための夏季休暇をとっていた。神奈川、茨城、神奈川、静岡、と旅をして、色川の自宅に帰宅したのは、8月10日深夜、0時を少しまたいだ頃。家に車が到着した時、寝る前にミミオレの様子を確認しておこう。と軽い気持ちでセキュリティカメラのライブビューを起動した。
この日は豪雨だった。スマホの画面で、雨の流線越しにミミオレの姿を確認し、そしてすぐに異変に気づいた。小屋の片隅に、何か別の小さな生き物がいるのだ。セキュリティカメラは、夜は暗視モードになり動物の眼が光って見えるのだが、ミミオレの眼のほかに明らかに2つ別の眼があるのだ。最初は、猫か子鹿が、雨を避けて小屋に潜り込んでいるのではないかと思った。でも、耳がどう見ても、ロバだ。そしてミミオレが、ペロペロとその黒い生き物を舐めている。猫か鹿ならそんな行動をするとは思えない。

余談:夏休み前、セキュリティカメラを設置して稼働を開始していた。トクモク德森くんが神殿みたいな遊び心満載の屋根付きカメラ台を作ってくれた。これにより、常にアクセスすれば小屋の中の様子を確認できる状況が整っていたのだった。
「ねえ見て、子ロバがいるようにしか見えないんだけど。ミミ、産んだんじゃない?」
そう言って智史に画面を見せる。「ほんとだ・・・」「どうする、行く?」「行くか」。
家に帰ることなく、もう一度エンジンをかけ、そのままらくだ舎へと向かう。私は到着前二時間くらい熟睡していたけれど、智史はずっと運転をしていて疲弊していたのでかわいそうだったけれど、行くしかない。家かららくだ舎までの道中ずっと、私はスマホの画面で小屋の観察を続けた。子ロバらしきものが立ちあがろうとするが、滑って転ぶ、という動作を繰り返す。立ち上がろうとする姿はどう見ても、いわゆる産まれたての仔馬のそれで、これはロバだ、という確信を得る。
「えええ・・・早すぎる〜〜」「まじか〜」「どう見てもこれは子ロバだよ」「やっぱり、あのお腹の大きさは生まれるってことだったんだ」「滑っちゃってる。床が滑るんだ。藁を敷き詰めた方がいいね」。

私たちがらくだ舎に到着する直前の様子
そんなことを口々に言いながら車を走らせる。爆睡していた娘も、興奮した私たちの声に気づいていつの間にか起き、一緒にスマホの画面を覗き込み、「これはぜったいにロバだね」「みみがとがってるもん」「うまれたんだね!」と彼女なりに興奮している。
0時30分過ぎ、らくだ舎に到着。レインウェアを着て、娘にも大人用のウェアを被せる。智史は傘をさして先に小屋に藁を敷いていた。「やっぱりいるよ!産まれてる」と智史。ライトで小屋を照らすと、毛が濡れた黒っぽい子ロバが首だけ起こしてそこにいた。近くには、胎盤と、モニョっとしたもの(羊膜と臍帯だと思われる)が落ちている。よかった、無事に胎盤も出せたのだ。馬の出産によると、この「後産」が出産後三時間以内に行われないと、異常事態とのことだ。すでに膜にも包まれていなかったことから考えて、おそらく実際の出産は10日の21時〜23時ごろに行われたのだろう。
ずっとお腹の中にいた子どもが、今目の前にいるんだ。実感は湧かなかったが、とにかく藁を敷いて足場をよくしてやらねばと、藁を運び、捌いて敷き詰める。小屋の中に入っても、ミミオレはさほど嫌がらなかった。

発見時の子ロバ。お尻の下に、胎盤と羊膜?臍帯?が落ちている
敷いたそばから、ミミオレは藁を食べ始めた。いや、第一目的はそうじゃないんだけど。でもきっと出産で疲れただろうから、好きなだけ食べたらいいよ、と言う気持ちだった。
胎盤は食べるかもしれない、と思い、片づけずに、見えるようして藁を敷いていった。後で調べると、動物だからといって基本的に胎盤は食べないようだ。必要であれば口にする、ということなのかなと思う。
ミミオレは3〜4歳で、初産だ。初産だから、出産時は苦労するかもしれないし、彼女自身に命の危険があるかもしれないと思っていた。だから、生まれるであろう、と思い込んでいた来年の2〜3月までに、ロバのことがわかる獣医さんなど遠隔でも相談できる人を見つけなければと思っていたのだが、まさかこんなに早く、いつの間にか産まれている事態になるとは・・・。とにかく無事に産んで、産まれてくれて、よかった。まだ立ち上がっていない子ロバの様子は不安だが、ミミオレはいつも通りですごく元気そうだ。それに、産んだはいいが子どもに興味を示さない親ロバもいる、と何かで読んだのだが、ミミオレは舐めてやったり、すんすん鼻を合わせたり、子どもに寄り添っている様子だった。彼女が子どもに愛情を感じていることが伝わってきて、それもまた安心したのだった。
しばらく小屋を離れ、らくだ舎内で2頭の様子を見守る。やはり藁を敷いたことで、足場は幾分か安定したようだ。何度も失敗して、1時7分過ぎ。ようやく初めて立つことができた!よかったよかったと、とりあえずいったん家に帰ることにする。
智史と娘は水浴び後にすぐに寝たけれど、私はどうしてもロバの様子が気になってしまい、しばらくライブビューを見ていた。小屋の外に出て、歩き回れるようになり、2時20分過ぎには初乳を飲めていることを確認。小屋よりも外の方が足場が安定して飲みやすかったようだ。3時過ぎには寝落ちした。
気がかりは、一旦外に出たはいいけれど、ちゃんと小屋に戻れるのかどうかということ。ミミオレの小屋は高床式になっているため、ミミオレも最初は小屋に入るのにとても苦労したことは前回書いた通りだ。ヨタヨタの子ロバが、踏み台(と化した元スロープ)に登ってまた小屋に入る、ということはできるのか・・・少し寝て、目が覚めた5時過ぎ。またライブビューを確認する。よかった、ちゃんと2頭とも、小屋の中にいた。
7時過ぎ、再び車を走らせて様子を見に行く。問題なく立っておっぱいを飲んでいた。ミミオレはひたすら麦わらを食べていた。この日も雨だったので、2頭は基本的に小屋の中で身を寄せ合って過ごしていた。小屋から落ちるようにして、外に出た。うまく戻れないようなので、抱きかかえて小屋に戻してやった。

誕生した日の朝の2頭の様子。ミミオレの顔がお母さん・・・!
午後、区の行事を終えてまた様子を見に行く。ちゃんと小屋と外を行ったり来たりできるようになっていた。ミミオレは甲斐甲斐しく世話を焼いている様子。ちょっと過保護すぎるのでは、と思うくらいの愛情を感じた。
こうして、誕生からの1日は過ぎた。検索して得た知識(ただし基本的にウマの情報)で、出産に問題がなかったこと、産まれた子どもにも大きな異常はなさそうだという結論に至った。まだまだ心配はあるけれど、母になったミミオレと子ロバには、自力でなんとかできる強さも感じている。よく観察しながら成長を見守りたい。
成長する子ロバとおっぱいの不思議
生まれてから今日、8月17日で子ロバ誕生から7日目を迎える。たったこれだけの時間で、子ロバの様子は随分と変化している。
初日は立って歩く時に震えていて、バランスを取るのが難しそうにしていた。少し歩くのを見守るのにこちらに力が入ってしまう感じ。1日たっただけで、脚がちょっと太くなった?と思っていたが、今ではすっかり逞しく、ピョンピョン跳ねたり、バカラッバカラッバカラッと、いわゆる馬の駆け足の音を出してすごいスピードで駆けたりしている。

パタリと横になってお昼寝する。悶絶する可愛さ
最初は濃いグレーだと思っていた毛の色も、乾くと薄いベージュ色、カフェラテのような色に。まだ最終確定ではないが、名前はカフェラテ、愛称は「ラテ」になりそうだ。(変わるかもしれないので、また本当に確定したらお知らせする)。生まれる時は冬毛が基本のようで、今のミミオレよりも毛足が長く、くるくるとした癖毛。これもミミオレの特長を受け継いでいる。触り心地はモシャッとしている。
誕生直後からお世話をしていたことで、人間に対して警戒心が低く、人懐っこい。時折、私の腰のあたりをツンツンとしてきて、おっぱいを探すようなそぶりを見せ、笑ってしまう。「ごめんね、私にはないんだよ〜」と言いながら、ミミオレのおっぱいの方に促す。そうそう、ロバのおっぱいは、人間と同じで2つしかない。基本的に一頭しか産まないからだろう、と思っていたが、牛は4つあるけれど基本1頭だという話を聞いて、謎が深まった。偶蹄類と奇蹄類の違いか?だったらおっぱいの数も奇数であるべきか?

おっぱいを飲む子ロバちゃん
検索してみると、時折私のように哺乳類のおっぱいの数を疑問に思う人はいるようで、まとめている人がいた。
やはりおっぱいの数は、基本的に産む子どもの数に対応しているらしい。そして2個で一対が基本で、奇数ということはないようだ。
おっぱい2個(1対):ヒト、ゴリラ、ウマ、サイ、クジラ、コウモリ、ジュゴン、イルカ、ゾウ
おっぱい4個(2対):ウシ、クマ
おっぱい8個(4対):イヌ、ネコ、ウサギ
おっぱい14個!(7対):ブタ
・・・ブタ!!すごい・・・!確かに、ゴロンと横になっていた母ブタには、腹部全面におっぱいがあって、そこに子豚がワラワラと群がっていた。すごい母性だ。おっぱい選手権ではブタが圧勝である。

ジュゴンはおっぱい2つ。(鳥羽水族館で撮ったジュゴンのお食事風景)
こうなってくると、ウシとクマがなぜ4個なのか、という疑問が浮かぶ。犬猫ウサギは多産だから8個あるのは納得である。
と思って調べると、クマは1〜2頭、稀に3頭同時に産むこともあるらしい!しかもクマは、前回書いたように冬眠中に子どもを産む。うっかり3頭産まれた時、おっぱい争奪戦はかなり熾烈なものになっていそうだ。勝手に3つ子のクマとお母さんクマの様子を想像してハラハラしてしまった。
結局この疑問は、牛はなぜ4個なのか。という疑問に収斂された。牛は通常1頭しか産まないらしい。一般社団法人JミルクのSNS投稿では「なぜ4つもおっぱいが必要であるのか不思議ですね。今でもその理由はわからないそうです」と書かれていた。動物の不思議って、いろいろあるんだなあ。
『牛を食べた日』続々と出荷中!

7月30日に刊行、8月から発売を開始した、らくだ舎出帆室の三冊目の書籍『牛を食べた日』。私たちから直接購入いただくと同時に、さまざまな書店さんに注文をいただいて、続々と全国に出荷されています。(牛なので出荷、が正しい)。
最新に更新できていませんが、以下取扱書店さんです。お近くの方、お近くにお知り合いのいる方など、らくだ舎からも変えるけれどこちらでも買えるよ!とお伝えください。まだ直接訪問できていない書店さんもありますが、どの書店さんも本当に素敵な本屋さんで、たくさん共感のかけらがあります。お出かけの時にぜひ寄ってみてほしい本屋さんばかりです。
もちろんらくだ舎店頭、らくだ舎ネットショップでも買えますので、近隣の方、近隣ではなくとも足を伸ばそうかなと思ってくださった方は、直接店舗に来て買ってくださったらとても嬉しいです。じつは先週の営業でも3名ほどの方に買っていただけて、とても嬉しくてちょっと照れる……そんな気持ちになっていました。らくだ舎で買っていただけた方には、8月末までらくだ舎オリジナル栞のおまけ付きです。(もしお渡しするのを忘れていた方いましたらご連絡ください!自信がない)ぜひご利用くださいませ。
▼取り扱い店舗一覧▼
BOOKNERD(岩手県盛岡市)common house(東京都世田谷区)
マルジナリア書店(東京都府中市)生活綴方(神奈川県横浜市)
南十字(神奈川県小田原市)HUT BOOKSTORE(岐阜県美濃加茂市)栞日(長野県松本市)HiBARI BOOKS(静岡県静岡市)ヒガクレ荘(静岡県静岡市)ON READING(愛知県名古屋市)TOUTEN BOOKSTORE(愛知県名古屋市)トンガ坂文庫(三重県尾鷲市)ホホホ座浄土寺店(京都府京都市)長谷川書店 水無瀬駅前店(大阪府島本町)リーダン・ディート(広島県広島市)あすな書店(島根県邑南町)ルリユール書店(福岡県北九州市)enden books(福岡県福津市)本と商い ある日、(沖縄県うるま市)
発信などいろいろ
Radio「らくだ舎のきらくなラジオ2 」月1回くらいで更新。暇な時に聴いてください。リンクはpodcastですが、spotifyとYoutubeでも配信してます。
Radio「色川山里ラジオ」こちらはMCを交代交代で務めます(時折不在)。色川住民の人生を聴く番組です。
Instagram お店のこと含め、日々のことをお知らせ
実店舗 Coffee&Tea&Books らくだ舎 OPEN:木・金・土 10:00-17:30649-5451 和歌山県那智勝浦町口色川742-2 色川よろず屋内
登録していただくと、メールとして最新号が届きます。時折メールマガジン特典コンテンツも存在します。私たちのこのような執筆活動を支援したいお気持ちの方は、サポートメンバー登録をしていただけたら、とてもありがたいです。何も宣伝していないのに登録してくださった方もいて、本当にありがとうございます・・・!月1以上は、試行錯誤しながら書いていきたいと思っています。
すでに登録済みの方は こちら