らくだのあしあと 10歩目 2025.1.16

あけましておめでとうございます。みなさんはどんな年末年始をお過ごしになったでしょうか。我々は新年早々体調を崩してあわあわと過ごし、なんとか復調、やっといつもの暮らしに戻りました。ニュースレターを年末年始休み中に書くことも叶わず……遅くなりましたが、2025年最初のレターをお届けします。今日は、貴子が担当です。
らくだ舎 2025.01.16
誰でも
1月1日、朝日に新年を感じて、家から見える風景も新鮮に映った。この時はまだ元気だったが…

1月1日、朝日に新年を感じて、家から見える風景も新鮮に映った。この時はまだ元気だったが…

今回の目次

  • 身体の不調を観察して。年末年始の日記

  • 昨秋〜今日まで読了した本(本屋担当じゃない人から)

  • 絵本『バナナのらんとごん』を出版、販売開始しました

***

身体の不調を観察して。年末年始の日記

12月30日の夜。思えば、娘が高熱を出したこの夜から、病の足音はひたひたと忍び寄っていた。娘を看病しながらみんなで家に籠り、静かな年越し。私も夫もやや喉が痛い、ちょっぴり寒気がする……とひそひそ話しつつ、娘と一緒に早く寝たり、ハチミツをお湯に溶かしてたくさん飲んだりしてやり過ごす。

たまっていた繕い物が捗り、これはこれで良いもの……といったことをニュースレターに書き始めたところで、1月3日、再び娘が発熱。咳も復活。しかしこの時はまだ、ちょっと風邪がぶり返したくらいに思っていて、予定していたラジオ収録を自宅にて決行。(色川山里ラジオにて配信中。我々がまだ元気で気楽に捉えている感じがよくわかる。)

翌4日には治ることを期待していたが娘に変化はなかった。動画を見る?と聞いても、虚ろな表情でうん……と言い、ぼーっとして全く動かない様子に驚いた(いつもなら、良いの!とひったくるようにiPadを手にし、ツルツル操作して動画を選ぶ)。この日は智史も倦怠感を訴えて寝込んでしまった。1月5日、娘は一瞬37℃代を記録するもまた38℃〜39℃の間を行ったりきたり。智史も微熱が続き、二人ともひたすら寝続ける。私も鼻水がズビズビと出始め、たぶん熱を測ったら37℃以上ありそうだったが、私まで寝ているわけにもいかない。もともとは1月6日から帰省の予定を立てていたため、一応荷造りをしたり、借りていた鍋を返しに行ったり、張りっぱなしだったハンモックを回収したりと色川内を動き回りタスクをこなしていく。しんどさには気づかないことにして、その分頑張った自分を褒めた。
1月6日朝、智史の熱が39℃を超えた!本人曰く「久しぶりに感じるしんどさ」とのこと。これはインフルエンザに間違いないだろう。一方娘は38℃を少し切るくらいまで熱が下がり、おしゃべりできるくらい回復してきた。私も微熱だ。帰省は延期。今日から年明け平日なので、病院に電話し、症状を伝えて検査を受けることにする。なんとか智史、娘を車に乗せて、昼前に病院に到着。入り口付近には、検査に来たであろう車が何台も止まっていて、似たような境遇の人たちがこの年末年始にたくさんいたのだな、となんとなくほっとした。

混んでいたのでかなり時間がかかったが、インフルエンザとコロナどちらも検査してもらい、娘と夫のインフルエンザが確定した。まだ私からは反応が出なかったそうだが、かかっているでしょうという臨床判断で、全員に薬を処方してもらう。薬局に行くと、薬剤師さんが「朝からインフルエンザの方ばっかりでてんてこまいなのよ」と聞いてもいないのに教えてくださるくらいの忙しさだったらしい。確かに私の後にやってきた人もインフルエンザだった。私だけ車から出てスーパーに行ったが、考えがうまくまとまらず、なんとか数日分の食料とポカリスエットを買い込んで帰宅。そして私もしっかり発熱し、三人揃って布団、ポカリ、うどん、薬を往復する3日間を過ごした。できることなら自分の免疫やら食養生やらで治りたいという気持ちはあるが、この時ばかりは西洋医学の威力を感じた。娘の夜間の咳がおさまったことが、本当に助かった。

年始に投稿しそびれた、棚田を守ろう会のしめ飾り。山に生えていたマンリョウを飾った

年始に投稿しそびれた、棚田を守ろう会のしめ飾り。山に生えていたマンリョウを飾った

色川ではクリスマスの少し前、12月20日前後にインフルエンザが大流行していたので、完全に流行に乗り遅れての罹患である。とは言え、私たちは22日に自分たちも主催に名を連ねるブックマルシェがあったため、流行に乗るわけにはいかなかった。いつも思うが、私はもちろん、娘も夫も、ここなら体調を崩してもまあ何とかなる、という絶妙なタイミングで体調が崩れるように思う。もちろん、罹る前に「よ〜しこの期間なら体調を崩せるな」などと思えていたわけではないので、できるだけ病をポジティブに捉えようとしているだけかもしれない。

さて、体調を崩した自分は珍しいので、どういう感覚だったのか、覚えているだけでも記しておこう。まず、心と頭(脳)と身体がバラバラになっている、と感じた。発熱している時は、左側の首の後ろと、左側の肩甲骨のあたり、そして顔の筋肉が痛かった。その時には発熱と痛みの関連性がよくわかっていなかった。横になりながら、半分眠りながら、顔やら首やらのツボをぎゅうぎゅう押す。実際凝ってもいた。自分で考えて行動するという気力が起きない。できることならずっとただゴロゴロとしていたい。普段なら寝付くのに時間がかかるが、日中でも関係なく眠ることができた。37℃代の発熱では本を読めたが、38℃を超えると本を読む気力もなくなり、Youtubeを眺めるくらいしかできなかった。チョコレートを食べたいと思えなかった。家には高級チョコレートが何粒かあって、発熱前はいつ食べようかなとそわそわしていたのだが、体調を崩してからは食べる気が全く起きない。食欲があるのかないのかよくわからない。本当は、食欲はなかったんだろう。食べて薬を飲んだ方がいい、とか、栄養を摂取した方がいい、とか、頭で考えたことと、食欲がないことが打ち消しあって、よくわからない状態になっていたのだろう。


結局、全員1月8日に36℃代を記録。私とことりは鼻水が止まらず、私はさらに鼻が効かない不快さが続いたが、一応全員日常生活に復帰した。なんとか行けるだろう、と判断して、10日から超短縮日程で茨城に帰省することに。実家で過ごしながらさらに身体を治し、色川に帰ってきた時には完全復活して、今に至る。2025年の残り350日は、チョコレートを美味しく食べられる健康状態を維持したいと考えている。(txt:千葉貴子)

帰省時に笠間稲荷神社でおみくじを引いたら、私史上何度目かの大吉だった!万事さわりなし、らしい。信じる。

帰省時に笠間稲荷神社でおみくじを引いたら、私史上何度目かの大吉だった!万事さわりなし、らしい。信じる。

昨秋〜今日まで読了した本(本屋担当じゃない人から)

本屋に憧れている。お店ではたまに、「この本、誰が選んでいるのですか?」と聞かれることがある。選んでいるのは、智史である。私たちらくだ舎の場合、明確に、本屋担当は智史と決めている。だが、冒頭のように、私だって本屋に憧れてはいるのだ。たくさんたくさん本を読み、この人知ってますか、って聞かれたらすぐに答えられるようになりたい!その人に合わせたおすすめの一冊を選べるようになりたい!そんな想いを密かに抱えながら、YouTubeを見たりLINEマンガを読んだりしつつ、ぽつりぽつりと本を読んでいる。そんな本屋に憧れる本屋ではない私が、昨秋から読んだ本の感想。

新月の子どもたち(齋藤 倫・ブロンズ新社)

センス・オブ・ワンダーは、残り1/3くらいの読みかけ本。どちらも装丁の色使いが美しく、並べたら綺麗だなと思って並べた

センス・オブ・ワンダーは、残り1/3くらいの読みかけ本。どちらも装丁の色使いが美しく、並べたら綺麗だなと思って並べた

東吉野のルチャ・リブロさんを訪れた時にお借りした本。ルチャ・リブロ青木さんは、ポッドキャストのオムライスラヂオで生きるためのファンタジーの会というテーマでの配信も重ねられている。

ずっと、なんとなくファンタジーが気になっていて、もっと読みたいな、という気持ちが自分の中にあるとは感じていた。小学校高学年〜中学生くらいの頃、ファンタジーを嗜んだ記憶はある。不思議の国のアリスに鏡の国のアリス、ネバーエンディングストーリーは繰り返し読んだ。20代前半の頃、ジブリで話題になった時にゲド戦記を読んで、アーシュラKルグウィンの文章、言葉の選び方にゾワゾワした。しかし、私の中であえて選ぶ、というジャンルにまだ存在する「ファンタジー」を、なかなか手に取れずにいた。美しい装画のこの本を、ルチャリブロから借りて読むことで、ファンタジーに触れ直そうと思った。

トロイガルト、という不思議な世界を夢に見る少年のお話で、現実世界とトロイガルトのお話が交互に繰り広げられる。主題となっているのは、諦めることについて。大人と子供のはざまにあった頃、誰もがきっと抱いた違和感を丁寧に丁寧に掬いあげて、物語にする。それがファンタジーなんだなと思った。想像した場面場面は、ずっと心に残って、何かの拍子に思い出されたりする。すごいことだ。読み終わり、やっぱり、ファンタジーが好きだし、大人にファンタジーは必要だ、と確信した。圧倒的に読後感が良いというのは魅力だ!大事なことを大事にしてくれるあたたかさと安心感がある。心にぐんぐん水を差してくれるような、潤いがある。今日から全うに生きていこうと思わせてくれる。

取り戻す旅(藤本智士・RestandardBooks)

らくだ舎の図書室に所蔵(館内閲覧)

らくだ舎の図書室に所蔵(館内閲覧)

KITAKAGAYA FLEAでお会いして、その時直接買わせてもらった。藤本さんが、久しぶりに東北を旅した数日間のエッセイ。軽快な語り口で、楽しくてするする読んだ。全体に渡って感じたのは、藤本さんの愛情深さだ。自分の心が動くことをひとつひとつ確かめて、ああこれが好きだなあとしみじみする様子が記録されていて、なんか良い。こんな大人になりたいな、などど、素晴らしい編集者の藤本さんに対して思うのはちょっと違うのかもしれないけれど、そんな気持ちになった。


くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話(ヤマザキOKコンピュータ・タバブックス)

佐久間裕美子さんとヤマコンさんのPodcastが始まったことを機に、らくだ舎で売っていたこの本に手が伸びた。こんな感じの人なんだ、と耳から著者を想像したのちに本を読むのもまた良し。

好きなお店や会社にエネルギーを通していく。それがお金を使うってこと。
俺たちは良いと思うことを選び取っていけるし、表明できるんだ。

力強くてポジティブなメッセージ。やる気になる。よし、銀行に預けてる場合じゃないな、エフピコに投資しよう、と思った(が、今は印刷費用の支払いで投資するようなお金がなかった・・・印刷費用もある意味自分たちへの投資か?)。
お金は貨幣じゃなくても良いはずだ、とも強く思った。ある編集者が梅干しと梅シロップを通貨にして支払っているという話を聞いた。ラブベジタブルだったかのイベントもそうだ。野菜が通貨になっている。らくだ舎に来る人にもモノでも良いよ、と言いたい。交換したい何かを持っている人にはぜひ言ってみてほしい。たいていの場合はオッケーだ。あまりにもその時たくさん持っている食べ物だったらお断りするかもしれないけれど。
私も貨幣以外の通貨を作りたい。米もお茶も、じつは通貨になり得るのでは。生産部門を再始動させねば、と、お金の話を読んで思うのはおもしろい。らくだ舎の農産物生産部門を「通貨作り」に変えたらどうかな?と思えてきた。私たちからご恩を返す時にしか受け取れない、特別な通貨だ。日本銀行券半分、日本ミツバチのはちみつと色川茶とお米で半分、みたいなお支払いで、喜んで仕事をご一緒してくれる方。どこかにいるのだろうか。

たやさない つづけつづけるためのマガジン vol.2 (hoka books)

こちらもKITAKAGAYA FLEAで直接購入させていただいた。らくだ舎の図書室に所蔵(たぶん)

こちらもKITAKAGAYA FLEAで直接購入させていただいた。らくだ舎の図書室に所蔵(たぶん)

ああ良い本だった!しみじみとした読後感。本のシンプルな体裁がじつにこの本にぴったりで、軽やかなのに、じんとした。とても切実なものが記録されていると感じた。

五人の書き手の方の文章、それぞれに、そうそう、そうだよね、私もそう感じてるよ、と話しかけたくなる部分があった。どんな本を作りたいのかについて、何度も何度も何度も語る嶋田さん(この本を出版している方)の姿に、もっともっと私も私の気持ちをちゃんと捉えたいという想いが募った。ごくごく私的なグッときたポイントが、嶋田さんが放送部だった、という記述。私も放送部だった。放送部で番組を作っていた、という方にこれまで出会えたことがなかったので、なんだか嬉しい。次にお会いした時には伝えたい(と思っていたのに、松本でお会いしたときに伝えそびれた…)。早くhoka booksや、ここに寄稿されている皆さんが作っている場所を訪れたくなった。

(txt :千葉貴子)

絵本『バナナのらんとごん』出版。販売を開始しました

前半ページから、力を入れて作った見開きシーン。本当に現地では、水牛や馬、人力でバナナを運んでいるのです

前半ページから、力を入れて作った見開きシーン。本当に現地では、水牛や馬、人力でバナナを運んでいるのです

先月上旬になりますが、印刷・製本を終えた『バナナのらんとごん』がらくだ舎に到着しました!昨夏、クラウドファンディングで支援をお願いしたこちらの絵本ですが、無事に出版することができました。
クラウドファンディングで絵本予約のリターンを選んでいただいた皆さんには、12月中にお手元にお届けしました。基本的には共同出版元のAPLAさんから発送をさせていただき、私は色川内と那智勝浦町内で年内にすぐにお渡しできる方に、直接訪問してお渡ししました。今回のクラファン、子どもたちにプレゼントしたい、という方が結構いらっしゃったので、クラファン期間終盤でしたが、リターンに「那智勝浦町の子どもたちに寄贈」というプランを作り、支援いただけたので、町内保育所・子ども園などに18冊を寄贈しました。あと、娘の通う大野保育所に来週寄贈したら、全部の施設に寄贈が完了します。
ということで、リターンで予約いただいた皆さんにお届けできましたので、1月からはついに?販売を開始しました。ネットショップからもご購入いただけますし、らくだ舎店舗では手にとって、中を確認してもらうこともできます。書店さんへの取り扱いのご案内は、このあとになりますが、急ぎ進めていきます。色々なところで目にするような絵本にできたらいいなと思っています。

意外に知られていない?(言っていない?)のですが、こちらの絵本、さく:ちばたかこ となっております。APLAさんからは、絵本を作ることを決意してご相談いただいたのですが、その時には「バナナが日本に来るまでを描く」「規格外のバランゴンバナナのことを伝えたい」というテーマだけがあり、そこから、子どもにその内容を伝えるためにはどうしたら良いか・・・・ストーリーを考えていきました。最初はダブル主人公でもなかったのですが、規格外品を伝えるには正規品のルートも見せた方がいいのでは、というアイディアが出てきて、持ち帰って考えた時に、バランゴンバナナ・・・主人公は「らん」と「ごん」しかあり得ない!ということに気がつき、今の形にグッと近づいたのでした。

2月2日には、東京の代々木上原にあるギャラリーにて、この絵本のお披露目会イベントが開催されます。私も出張して、お話などさせていただく予定です。お近くの方はぜひ、遊びに来てくださいね。(txt:千葉貴子)

私たちのこと、発信いろいろ

Radio「らくだ舎のきらくなラジオ2 」月2回くらいで更新。暇な時に聴いてください。リンクはpodcastですが、spotifyとYoutubeでも配信してます。podcasts.apple.com/jp/podcast/id1725074419

Radio「色川山里ラジオ」こちらはMCを交代交代で務めます(時折不在)。色川住民の人生を聴く番組です。https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E8%89%B2%E5%B7%9D%E5%B1%B1%E9%87%8C%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA/id1754913630

Instagram、facebook お店のこと中心に、日々のことをお知らせhttps://www.instagram.com/rakudasha/www.facebook.com/rakudasha.irokawa

実店舗 Coffee&Tea&Books らくだ舎 OPEN:木・金・土 10:00-17:30649-5451 和歌山県那智勝浦町口色川742-2 色川よろず屋内

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